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「トランプ関税ショック」いま中小企業が取るべき対策とは

  • inokuchi
  • 4月12日
  • 読了時間: 4分

2025年4月、アメリカのトランプ政権は、日本時間で9日午後1時すぎ、貿易赤字が大きい国や地域を対象に「相互関税」を課す措置を正式に発動しました。これにより日本には新たに24%の関税が課され、先週発動された自動車への25%の追加関税とあわせて、国内産業全体に大きな打撃が走っています。

この突然の発動により、世界の株式市場は大幅に下落。ニューヨークやロンドン、東京など主要市場は軒並み年初来最大の下げ幅を記録し、為替市場では円高・ドル安が急進。通貨の乱高下が実体経済にも波及し始めており、世界経済全体の先行きに対する不安が一気に広がりました。

米国内では一部に「国内雇用の回復につながる」として歓迎する声がある一方、製造業や小売業を中心に、輸入コストの増加やサプライチェーンの混乱に対する警戒感も強まっています。これに対してトランプ政権は、報復措置を取らず協議を求める国に対しては関税率を一時的に10%に引き下げ、90日間の協議期間を設けると発表しました。しかし合意に至らなければ、再び高関税に戻すと警告し、各国に圧力をかけています。


さらに中国に対しては「報復措置をとった」として、既存の追加関税20%に加え、125%もの高関税を課す方針を示し、実質的に145%の関税が発動される見通しとなっています。これに対し中国は強く反発しており、米中貿易摩擦の激化が、世界経済全体をさらに深い混乱へと巻き込む可能性が高まっています。


日本政府は、経済産業省を中心に即座に対応を開始。WTOや日米経済協議の枠組みを通じて関税緩和を求める実務協議を進めていますが、現時点で即時的な成果は得られていません。加えて、中小企業庁は全国に「関税影響対策相談窓口」を再設置し、資金繰り支援や販路変更、補助金申請へのサポートを強化しています。

一方で、国内の中小企業も自ら動き始めています。「ASEAN市場への輸出転換」「生産拠点の国内回帰」「日系商社との連携強化」など、これまでの輸出依存型モデルからの脱却を模索する動きが広がっています。


トランプ政権による「相互関税」措置の発動は、日本経済全体に大きな衝撃を与え、とりわけ輸出依存度の高い中小企業にとって深刻なリスクとなっています。これを受けて、日本政府は迅速な対応を進めており、以下のような具体策を講じています。


まず、全国約1,000カ所に「特別相談窓口」が設置され、関税措置による影響を受けた中小企業からの相談に対応しています。また、日本政策金融公庫などの政府系金融機関を通じて、セーフティネット貸付の要件緩和や、実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の再開も検討されており、資金繰り支援の体制が強化されています。さらに、ものづくり補助金や新事業進出補助金については、関税の影響を受けた企業に対して優先採択を実施し、設備投資や新たな事業展開を後押ししています。


このような政府の支援策を活用する一方で、中小企業自身にも戦略的な対応が求められています。まずは、資金繰り支援や補助金制度など、活用可能な支援策を積極的に取り入れることで、経営基盤の強化に取り組むことが重要です。

また、米国市場に依存しすぎないよう、アジア・欧州など他地域への輸出拡大や、国内市場での販路開拓など、新たな市場の開拓も求められています。併せて、省力化投資やデジタル技術の導入を通じて生産性を高め、価格競争力の強化を図る取り組みも欠かせません。

さらに、国際的な貿易政策や為替・地政学リスクの動向を常に把握し、情勢に応じた迅速かつ柔軟な経営判断を行うことが、今後の成否を大きく分けるポイントとなります。


今回の関税政策は、日本の中小企業にとってまさに試練のときですが、同時に経営体制を見直し、新たな成長機会を切り拓くチャンスでもあります。政府の支援を上手く活用しながら、自社の強みと柔軟性を活かした経営戦略の再構築が、これからの時代を生き抜く鍵となるでしょう。


トランプの関税政策
トランプの関税政策

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